現虚夢

イェーイ

誰もが青春に悩むことだと思っていたが実はそうでもないらしい、恋愛についてのある種類の悩みについて

あなたにパートナーはいるだろうか?またはただ気になっている人、一方的に好きな人でもいい。いるだろうか?あなたは、その人のどんなところが好きなんですか?答えてみてほしい。

嘘か本当か分からない話なのだが、「相手のどこが好きなの?」とパートナーがいる人に聞いてみると、その質問によってそのカップルが将来別れてしまう確率はかなり高くなる、らしい。

その根拠はと言えば、例えば「かわいいからこの娘が好きなんだ!他に理由があるか!」と答える男であれば他にもっとかわいい子がいれば別れる理由ができてしまうから、とかそんな理由だそうである。(答えることができなかったとしたら、それはそれで興味深い。とりあえずその場で片割れに怒られそうではあるかな?)あんまり詳しい因果関係の説明ではなかったと思う。そもそも、いつどこで聞いた話なのだか全く覚えていない。

「特定の質問をするとカップルが別れる」というのはかなり曖昧で条件が難しいし、因果関係も遠い話だから信憑性は薄そうな話だ。そんなに人間が簡単な生物であるはずはないと見るのが適切だと思う。たぶん。もしかしたら単純なのかもしれないが。

しかし、この話が正しいかどうかは置いておいても、この話から必ず出てくるだろう、と個人的に思う悩みがある。
例えば、「顔が好きで付き合い始めた」という人にとっては「この娘の顔だけが目的で、同じくらい顔が好みならば誰でも良かったのか?俺は本当にこの娘を愛しているのか?」というような悩みだ。

別にどうでもよいことにくよくよ悩んんでいるなぁ、と簡単に言えるような悩みではない。ひとは大体の場合はパートナーの浮気が大嫌いで、それだけで破局に直結しうる重大な問題になるのだ。だから、「顔がもっといい人が他にいれば浮気をする」というような相手のサガは大抵のひとには好ましくないと思われ、実際に相手に貞淑さを要求するし、相手の事も気遣って対称的に自分も浮気をしないようにするのが人情だ。

ちなみに、顔やスタイルや年収やらの比較的生々しい要素でなくても、「性格がいいから好きになったんだ!」と言ったとしても同じ話になってしまう。あなたのパートナーが自分と同じような優しい性格の人を簡単に好きになってしまうビッチだったとしたら、やはり「同じような性格なら誰でも良かったんだ……彼女は特別に俺が好きなわけではなかった……」と悩むでしょ?(「言葉にはできない部分が好き」とか、そういう場合も同じだ。次に挙げるパターンとも似ているが)

じゃあ、さっき言った「好きな部分を全く答えられない場合」が真実の愛だ!ということになるかというと、それも全然良くない。「顔がいいという訳ではない。特にこれといったことはないのだが、好きなのだ」と答えた人がいたとしよう。その人は大した理由もなく人を好きになってしまうのであるから、当然他の人に対してであっても大した理由もなく好きになってしまう可能性をどうしても否定できないはずなのである。これも浮気一直線だ。

しかし、人間は実際に(たぶんそれほど多くは)浮気をしない。この単純な二分法(ある人の実在的要素が好きならば他の実在的要素を持つ人も好きになってしまうはずだし、特にある実在的要素が好きという訳でもないならば、他の人を好きにならない合理的理由もない)を、なんらかの細やかな思想によってくぐり抜けているのだ。

実際の個々人の細やかな思想の実装には、恐らく多種多様な推論の形式が存在する。難しい問題すぎて一般化した実装ができないからこそ、人の世に浮気はあるのだ!とか勢い余って断言いいかもしれない。あなたはどうだ?本当にその人が好きか?本当に?性格や顔が好きなだけでその人そのものが好きとは言えないのでは?

「俺は本当にあの子が好きなのか!?」というこの苦悩、みんな青春に味わうものだと思っていたけど、実はそんなことないの?なぁ、みんなも自分で深く考えたり、周りのカップルに聞いたりしてみてくれ。他人の思考に頼らない、完全にステゴロの原初の思考を見ることができる場合が多いから面白いよ。どんどん人間観察しようぜ。でもたまには、自分でじっくり考える価値のあることだと思うよ。青春にこれらのことで頭を悩ませたことがなかったのなら、答えが出るまで考えてみて欲しい。たぶん、簡単に出る答えで納得のいく答えなんか無いと思うが。(読者への挑戦)